第一回の部会のミーティングが2023年11月18(土曜日)の16時から18時30分まで、神田キャンパス303室で開催されました。
第一回の部会ミーティングには、ものづくり・対事業所サービス等をビジネスとする中小企業の経営者・幹部社員や弁理士などの部会委員が8人、本学技術経営研究科の教員等が4人参加し、部会長が新聞やネット上等の各種メディアからピックアップしたいくつかの『トピック』を素材に、活発な討議がなされました。
部会メンバーは、それぞれ素材・試作・開発からマーケティングをカバーする等、バーチャルながらバリューチェーンが構築できる企業を取り仕切るメンバーが参集しており、短時間で密度の高い新製品開発の実現性シミュレーションが成り立つ点が、この場の大きな特長といえます。
この、『バーチャルながら現実味のある討議』をいつでも瞬時に進められる点が日工大MOTを修めた経営者の強みともいえそうです。
例えば、AI活用のテーマもピックアップされたのですが、自身の経験など事例紹介を中心に語られたのは、昨今取り上げられることの多いChatGPT(生成AI)ではなく、産業用AIとでも称すべきアルゴリズム生成(ディープラーニング)の活用実態と現状での課題などが語られ、『地に足がついた』議論になっているのが印象的でした。
また、『新製品開発』という漠然としたテーマであるにも関わらず、市場リリース後のアフター・ケアまでも、その負担・負荷をリスク・ファクターとして検討要素として提起するなど、プランニングにおける緻密度が高い点も、新規事業・新製品開発観点での期待感が高まります。
そうした中で、中小企業(同士)が実際に着手・設計・開発・運用をする上での具体的なイメージとして、他社・他業種・官・学・金とのネットワーク連携を最初から視野に入れて検討するなど、これもまた『現実的』な運営イメージが指向され、グランドデザインめいたものが見え始めてきました。
一方で、中小企業経営者らしくチャレンジ精神も旺盛で、何らかのハードウエア開発という枠にはとどまらず、生活に密着したサービスやSDG’s観点のなにか?等、積極的且つフレキシブルに可能性を追求する姿勢も見受けられ、大きな可能性が感じられました。
議論が一区切りついた時点で本日の〆となりましたが、部会長およびセンター長の提案で『もうすこしアイデア出ししてみよう』ということになり、次回の定例会合の前段で、検討素材を持ち寄り、リモート含むハイブリットなインフラで意見交換を実施してみることになりました。
初回の会合で大きな可能性の手ごたえを感じられたことによる判断です。
第一回ミーティングの検討内容を踏まえると、第二回ミーティングにおけるビジネステーマのアイディア出しで考慮した方がよいと思われる点を集約すると以下のとおりです。
① 中小企業が新事業として取り組むのは新技術、新製品だけでなく、新ビジネスモデル、新業態、新サービスなど幅広い視点からビジネステーマを検討する。
② 中小企業の強みが発揮できるニッチ市場を中心としたテーマであることが望まれ、ITやAIの急速な発展によって生まれるビジネス・失われるビジネス、SDG’sの社会性の強い社会課題解決などに関わるビジネスもあるが、基本的には中小企業の強みが活かせるようなビジネステーマを検討する。
③ 中小企業では現場の工程間、現場と設計の摺合せを必要とし、標準化が難しい或いはコモディティ化しにくい領域等を対象にしたビジネステーマを検討する。そのため、必然的に大規模市場ではなく、ニッチな市場が対象となる。
④ 生活者を対象にしたB2Bビジネスでは、生活者の課題を解決する機能を製品化するだけでなく、利用者の視点にたって心理的側面をも考慮した製品開発が重要となる。例えば、1人で歩行が難しい高齢者等にとって、課題を解決する杖だけでなく、杖を使うことによる対外的ストレスも解決できることが重要となる。
⑤ 中小企業は経営資源に乏しく、中小企業1社で新たなビジネステーマを実現することは人材、資金、技術などにおいて制約が強いので、事業化においては補完できる大学や特徴的な専門性の高い技術を持つ中小企業などとの連携を考慮する。
⑥ B2BからB2Cへの事業拡大、自社製品の開発・販売、顧客の課題抽出と提案などにおいては中小製造業だけでは限界があり、卸売業・小売業・サービス業などの他業種・他産業の中小企業との連携など、事業化には対象を幅広に想定しておくことも重要となる。次回第2回の部会のミーティングでは、部会メンバーの方々が生活者、事業者において課題解決が必要と思われるニーズを5つ程度持ち寄って議論を深めることとされました。
第二回の部会のミーティングは1月頃を予定しており、部会メンバーの方々が生活者、事業者において課題解決が必要と思われるニーズを5つ程度持ち寄って議論を深めます。なお、第二回部会のミーティングでは、対面だけでなくWebでも参加できることとなりました。
次回を楽しみにしております。