2024年6月8日(土)に開催されました特定課題研究成果事業化支援事業における評価(第2回 ビジネスイノベーション賞 選考会)において、エントリーされた特定課題研究成果(提案事業)が審査され、6件の受賞が決まりました。
受賞した6件の提案事業は、事業化に向けた事業提案者の以下のような積極的な取り組みが高く評価されました。
・ 緻密な調査や実験を踏まえた新商品開発の取り組み
・ 自社の再建を賭けた地道な営業活動の取り組み
・ 社会問題解決のための独自のビジネスモデル提案
・ 独自分析に基づくコンサルティング手法の考案
・ 旧態依然とした体質が残る業界の変革を目指すマーケティング手法
・ フィールドワークから導いた成功要因分析に基づく店舗経営の実践
受賞者のみなさまからは、2025年3月15日の学位記授与式終了後に執り行われる表彰式で、具体的な事業化の進展についてコメントをいただく予定です。
今回も、MOT修了生の中から現役経営者を中心に選定された選定会メンバーから【事業化観点】での指摘やアドバイスが多数寄せられました。
【廃棄魚類を活用したペット用機能性食品の研究】 作成者:江坂 真利子
・江坂様は、ペットへの投薬補助剤の原料として、害獣魚類に着目しその調達から市場規模や流通面までをカバーする事業モデルをまとめました。
・投薬補助剤としてだけではなく、おやつとしてや、さらに+αの付加価値となる成分を添加するなどマーケティング視点からの試みも含まれるものでした。
・ペット用食品というある意味特殊な分野だからか、選考会メンバーからは細かな質問的なものも多かったのですが、それらによどみなく応答されているのが印象的でした。
【コミュニティビジネス支援事業について】 作成者:亀田 望
・亀田様は、コミュニティビジネス(活動分野:地域資源活用)に対する中小企業診断士としての創業支援のあり方について、”コミュニティビジネスに挑戦する人“の支援方法をとりあげ、今後の自身の活動の根幹を作りたいとの思いから、本研究を纏められました。
・コミュニティビジネスは、行政の行き届かない範囲の地域課題解決の方法として注目されているビジネスであり、亀田さんご本人の『誰かの役に立ったと思えるような仕事に携わりたい』という気持ちとマッチしたテーマでもあったようです。
・選考会メンバーからは、当該事業に対する組織運用上の留意点等いくつかのアドバイスも見うけられました。
【中小企業製造業の事業変革に力点を置いたコンサルティング事業】 作成者:岸本 健
・岸本様は、中小企業に対して診断士として出来ることは、品質(Q)コスト(C)納期(D)の改善を共に考えることだと考えましたが、その分野は競合が多数いることは明らかでした。そこで、QCDのその先の戦略が必要な中小製造業にはどのような支援が有効か検討しました。
・世の中には、新しい技術・製品・サービスや新しい市場に活路を見出し生き残った中小製造業も数多く見受けられます。
それらの変革成功事例を類型化できれば、比較的難易度の高い事業変革の支援ができるコンサルティング事業を展開できるのではないかと考え、いくつかのモデル企業の成功事例を分析し、整理・類型化を図り自身の強みとして活用すべく研究成果としてまとめました。
・岸本様ご自身が製造業出身であることからか、製造業の経営者の選考会メンバーからの励ましが多かったようです。
【カーアフターマーケットに向けた◇ビジネス企画】 作成者:楠本 祥雅、渡邊 康児
・楠本と渡邊様は、自動車整備工場のマーケティングに着目しました。小規模事業者が大半であることとディーラーの整備工場が大きな競争相手として立ちはだかること、整備士不足や自動運転・EV化等の高度化する技術への追従などクリアすべき課題は山積しているようです。
・そんな状況下でも比較的収益性の高い3社の事業分析を行い、『普遍的な売れるしくみ』を模索しました。
・選考会メンバーからは、当該事業のターゲットの事業規模に係る話題から、事業の社会性や理念に係る確認事項等が寄せられました。
【狭小飲食店の成功要因を紐解く】 作成者:松本 由佳
・松本様は、ご家族の経営する狭小店舗が移転(大宮→都内)することになったことを契機に、物件探しから狭小店舗店の成功要因の分析から店舗のコンセプトやマーケティング施策、理想的なコスト管理などを『提言』としてまとめられました。
・今後のご自身の中小企業診断士としての活動に役だてるツールとして狭小店舗向けチェックシートとしてまとめるなどもして、今後の具体的な活動イメージを語ってくれました。
・飲食店という比較的身近なテーマであったからか、選考会メンバーからSNSの活用に専門家を起用という、具体的な事例を交えたアドバイスがありました。
【新規顧客開拓の実践~取引先新規40社の開拓~】 作成者:三好 博幸
・三好様は、デジタルとリアルを組み合わせた多動的なマーケティング戦略におけるイノベーションに取り組まれました。
中小零細企業ならではの“安価な費用で効果的な顧客開拓手法”の研究を行い、刺さるキャッチコピーとキービジュアルを用いて企業サイトに呼び込み、新規顧客の獲得につなげる具体的施策をまとめました。
・そうした試みの中で、ご自身が把握できたことや初年度の成果や今後の継続した施策に関してもなどが報告されました。
・穴あけ/タップ加工という製造加工業分野でのニッチなテーマもあり、選考会メンバーからは設備投資や市場規模に係る話題が提起され、活発な意見交換が為されました。
選考委員会による厳選なる審査の結果、以下の結果となりました。
【ビジネスイノベーション 最優秀賞】
「廃棄魚類を活用したペット用機能性食品の研究」 江坂 真利子 様
【ビジネスイノベーション 特別賞】
「新規顧客開拓の実践~取引先新規40社の開拓」 三好 博幸 様
【ビジネスイノベーション賞】
「コミュニティビジネス支援事業について」亀田 望 様
「中小企業製造業の事業変革に力点を置いたコンサルティング事業」岸本 健 様
「カーアフターマーケットに向けた資格ビジネス企画」楠本 祥雅 様、渡邊 康児 様
「狭小飲食店の成功要因を紐解く」松本 由佳 様
2025年3月に執り行われる本学第20期の学位記授与式終了後に、表彰状の授与及び副賞の贈呈が行われる予定となっています。
第二回目を迎えたビジネスイノベーション賞には昨年度を上回るエントリーがあり、選考会では、それぞれの事業提案者から熱意あふれるプレゼンテーションが続きました。選考委員会メンバーの多くは、自身も特定課題研究を経験した本学修了生の企業経営者であり、経営者ならではのビジネス的視点から審査が行われました。選考委員会メンバーと本学中小企業イノベーションセンターは、エントリーされたみなさんの事業展開に今後も注目して参ります。
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